サルナートは、インドのウッタル・プラデーシュ州にある地名。ヴァラナシの北方約10kmに位置します。仏教の四大聖地のひとつです。

ちなみに、仏教の四大聖地とは、

ルンビニ(ネパール):お釈迦さまが生まれた地(生誕所)

ブッダガヤ(インド):菩提樹の下で悟りを開いた地(成道所)

サルナート(インド):初めて教えを説いた初説法(初転法輪)の地

クシナガラ(インド):生涯を閉じ、涅槃(入滅)に入られた地

を言います。

このサルナートに、釈迦(ブッダ)がインド各地の滞在中に起居し、説法や瞑想を行ったとされる本堂(香室・小屋)の遺構・本来の場所を指すムルガンダ・クティ、巨大な仏塔(仏舎利塔)である、ダメーク・ストゥパ(Dhamek Stupa)、そして、現代(1931年)スリランカの仏教指導者によって新たに建立された近代的な仏教寺院ムルガンダ・クティ寺院があります。

ムルガンダ・クティ

ムルガンダ・クティ(根本香積堂)は、サルナートの主要発掘エリア(遺跡公園)内にある、お釈迦様(ブッダ)が初めての雨季(雨安居)を過ごし、瞑想や寝起きをしていたとされる「御堂(お堂)」の跡です。「ムルガンダ・クティ(Mula-gandha-kuti)」という言葉は、サンスクリット語で「最初の・香りの・堂(部屋)」を意味します。お釈迦様の部屋には常に香花が絶えなかったことから、仏教においてお釈迦様が滞在する部屋のことを一般に「香積堂(こうしゃくどう / ガンダクティ)」と呼び、ここサルナートのものはその「根本(始まり)」であることからこの名がつきました。

この写真の場所でブッダが弟子に対して初の説法を行ったと言われているそうです。

ダメーク・ストゥパ

ストゥパとは仏塔のこと。日本語の卒塔婆に相当します。

ダメーク・ストゥパは、紀元前3世紀にマウリヤ朝のアショーカ王が基礎を築いたとされ、現在の姿の大部分は6世紀(グプタ朝時代)以降に改修・増築を繰り返して形成されたそうです。

高さ約43.6メートル、直径約28メートルの巨大な円筒形の建造物で、下部にはグプタ朝時代に施された、精巧な幾何学模様や植物・鳥などの美しい石彫りの浮き彫り(レリーフ)が今も残っています。

レリーフ

ムルガンダ・クティ寺院

サルナートで釈迦が最初に過ごした原点の地「ムルガンダ・クティ」の聖なる記憶と名称を後世に伝え、再び祈りの場とするために、その近隣に同名の寺院が建てられました。

寺院の内部には、日本の画家・野生司香雪(のうすこうせつ)が1931年から約5年をかけて描いたフレスコ壁画『釈尊一代記』が広がっています。お釈迦様の誕生から修業、悟り、説法、そして入滅(死)に至るまでの一生が美しい大和絵のタッチで描かれています。

写真右上「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」
Screenshot
スジャータの乳粥
悪魔の誘惑(降魔成道)

一般的に『釈尊一代記』で描かれる、お釈迦様の中心的なストーリー(四大聖地や八相成道に基づく主要な場面)、AIで調べた内容を記載します。

1. 誕生(ルンビニーの地)

 ・摩耶夫人の夢:母である摩耶(マーヤー)夫人が、白い象が体に入る夢を見てお釈迦様を懐妊します。

 ・無憂樹の下での誕生:旅の途中、ルンビニーの花園で誕生します。生まれたばかりのお釈迦様は「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱え、周囲に蓮の花が咲いたとされています。

2. 少年・青年期(カピラ城)

 ・太子としての暮らし:シッダールタ(お釈迦様の本名)は王王子として何不自由ない豪華な暮らしを送り、妃を迎えて子供(ラーフラ)も生まれます。

 ・四門出遊(しもんしゅつゆう):城の東・南・西・北の門から外に出た際、それぞれ「老人」「病気の人」「死者」、そして最後に清らかな「出家者(修行僧)」に出会います。これがきっかけで、人間の「老・病・死」の苦しみから逃れる方法を探すため、地位も家族も捨てて出家することを決意します。

3. 修行と苦行

 ・城を脱出する(夜半の出家):家族が眠る夜中に城を抜け出し、髪を切り、きらびやかな衣服を捨てて修行者となります。

 ・激しい苦行:山に入り、骨と皮だけになるほどの極限の断食や苦行を6年間続けます。しかし、「肉体を痛めつけても根本的な解決にはならない(中道)」と気づき、苦行をやめます。

 ・スジャータの乳粥:川でおぼれかけていたところを、村の娘スジャータに救われ、乳粥を恵まれて体力を回復します。

4. 成道(悟りを開く・ブッダガヤ)

 ・悪魔の誘惑(降魔成道):菩提樹の下で瞑想に入ったお釈迦様に対し、悟りを邪魔しようと悪魔(マーラ)が恐ろしい軍勢や美しい娘を送り込んで誘惑します。お釈迦様はこれを退けます。

 ・大いなる悟り:ついに宇宙の真理を悟り、「仏陀(ブッダ=目覚めた人)」となりました。

5. 初転法輪(初めての説法・サルナート)

 ・5人の弟子への説法:悟りを開いたお釈迦様は、かつて共に苦行をしていた5人の仲間に向かって、鹿の野(サルナート)で初めて仏教の教え(四諦・八正道など)を説きました。これがムルガンダ・クティが建つ場所の出来事です。

6. 伝道の日々と奇跡

 ・多くの人々を救う:その後、45年間にわたりインド各地を歩いて旅し、王族から貧しい人々、さらには悪人(アングリマーラなど)まで、身分を問わず多くの弟子を受け入れ、教えを広めました。

7. 入滅(最後の時・クシナガラ)

 ・沙羅双樹の下で:80歳になったお釈迦様は、クシナガラの沙羅双樹(さらそうじゅ)の間に頭を北にして横たわり(北枕)、弟子たちに見守られながら静かに息を引き取りました(涅槃・ねはん)。

 ・最後の教え:悲しむ弟子たちに「世のすべてのものは移り変わる。怠ることなく修行に励みなさい」と遺言を残しました。